『アミューズメント産業』2008年6月号に紹介されました
「日本エア遊具安全普及協会」が設立 栗橋寿代表理事に聞く
2008年4月、エア遊具の製造・販売や設置・運営に携わる事業者を中心に、有限責任中間法人「日本エア遊具安全普及協会」が設立された。これはゲームセンターのキッズコーナーや、イベントなどで使用されて人気の「エア遊具」に関する、安全確保やサービス向上を目的とする、初めての事業者団体である。この団体の栗橋寿代表((株)ワック代表取締役)に、お話を伺った。
―まず、協会の設立の経緯についてお聞かせください。
栗橋 エア遊具は広く使われてきていますが、残念なことに使用中の事故もたびたび発生してしまっています。私は、イベントを展開している企業の代表であり、エア遊具も使ってきましたが、人に教えていただいたり学んだりしながらいろいろな事例を経験する中で、本当にそれでいいのか、と思うこともしばしばありました。
遊具自体のクオリティは高まっていますが、最後は人が運営しています。遊具の設置、使い方、運営の仕方などがきちんとしなければ、安全性や品質は確保できません。それなのに、運営面での適切な方法が周知されておらず、教えてくれるところもないというのが現状です。
昨今の強風やエア抜けによる事故を見ると、他人事ではないと強く感じました。だからこそ、業界全体で情報を交換し、安全や品質を高めていくための団体が必要だと考え、昨年来、協会の設立を進めてきたわけです。
―今回の協会の設立が、関連業界全体にまたがるということで、困難はありましたか?
栗橋 エア遊具に関わる企業は、まず設計製造を行なうメーカーがあり、それから遊具を購入してレンタルする企業、そしてイベントを運営する企業と、主に3つに分かれます。
もちろんそれらを兼ねている会社もあるわけで、業界全体がある程度知り合った関係でもあり、それぞれの意識の差はそれほどありません。こうした問題意識には、いずれも共通するものがありました。
―今後、情報共有や活用の仕組みづくり、安全のガイドライン、教育・研修などを進められるとのことですが、例えば法律面などはどう考えられますか?
栗橋 これは私見ですが、法律面での整備は難しいし、時間もかかります。エア遊具は固定的な構造物ではありませんし、建築基準法などにはそのままではなじみません。
むしろ、いま業界にとって必要なことは、イベントなど短期間のものでもきちんと安全を確保する、業界全体で支えていけるガイドラインを設定することが大切です。
アメリカなどでは、消費者側でのスタンスで、業界側がガイドラインを確立し、それで運営しています。われわれも、まず民間の規格をつくり、それを自主的に守っていくという仕組みを確立することから始めようと思っています。
―協会の役割に期待されるものは大きいと思います。最後に業界等に向け一言を。
栗橋 イベントは安全を基に感動を作り上げていくものです。日本のイベント業界は力のあるものに育っており、企画力もあります。より魅力のある業界にするため、広報や講習などを展開していますので、よろしくお願いいたします。
―ありがとうございました。
(株)アミューズメント産業出版